【 研究組織 】
代表挨拶
南澤 究
土壌微生物で地球を冷やす!
プロジェクトマネージャー南澤 究
東北大学 大学院生命科学研究科 特任教授
◎Profile
南澤 究
MINAMISAWA Kiwamu
東京大学農学部卒業、東京大学大学院農学系研究科博士課程退学(農学博士)。茨城大学農学部助手、茨城大学農学部助教授を経て平成8年東北大学遺伝生態研究センター教授。平成13年改組で現職。

一酸化二窒素(N₂O)とメタン(CH₄)は、二酸化炭素(CO₂)と同様に強力な温室効果ガスです。農業はN₂OとCH₄の主要な発生源です。 ヨハン・ロックストローム教授は、自己フィードバック機構により地球温暖化が不可逆的に加速するリスク(Hothouse Earth)を予測し、生態系・社会・経済に深刻な混乱をもたらす可能性を指摘しています。特に、農業セクターからの人為的な温室効果ガスは23%にも達しており深刻です。

本プロジェクトでは2050年までに農地からの温室効果ガス排出を80%削減する目標を掲げ、(i)N₂OおよびCH₄の排出を削減するための土壌微生物の接種、(ii)その微生物の働きを活性化する作物育種、(iii)微生物の接種効果を上げる土壌デザインの3つの主要な戦略を採用しました。

我国の研究グループはN₂O・CH₄を減少させる共生細菌により土壌からの温室効果ガスを削減できること既に明らかにしております。しかし、そのボトルネックは土壌微生物群集の頑健性でした。そこで、「新しい土壌学」と「植物・微生物相互作用」も含めた壮大な学際プロジェクトを組織しました。具体的には、N₂O循環、土壌構造、CH₄循環、評価とモデリング、資材設計(*DREAM)の5つの大課題で構成されています。特に期待したいのは、若手研究者が中心になり新技術やアイデアを持ち寄りこの挑戦的な研究を推進することです。

温室効果ガスは世界のほとんどの農地で発生しているため、科学・技術・社会の様々な観点から「土壌微生物によるクールアース」を目指した国際的なネットワークを構築することが重要と考えております。次世代に素晴らしい地球を継承する学際プロジェクトでありますので、皆様のご協力をよろしくお願い致します。

*DREAM (Designing of Reinforced and Effective Agricultural Material)