土壌や陸上生態系の機能を解明するには、土壌の物理構造、化学・生化学反応、そしてそれを駆動する微生物叢の相互作用を評価することが必要です。MSメンバーの持つ異なる分析技術や知見をうまく組み合わせることで、このチャレンジングなテーマを掘り下げられると考えています。私は、特に土壌団粒構造に着目してN₂O・メタン削減に向けた研究を進めます。

これまでマングローブ林、都市化勾配のある森林で樹木の内生菌群集の生態解明に取り組み、植物と菌類（特に真菌類）の相互関係について研究してきました。

課題1-1の自然土壌における団粒構造と微生物叢の評価に取り組みます。生態学や病理学などのバックグラウンドを活かし、微生物叢の評価を通じて土壌微生物群集の定着メカニズムや機能の解明、さらに地球の冷却化に貢献したいです。

これまで、気体の安定同位体比を専門とし、特に北東シベリアの土壌で生成するメタンの安定同位体比について研究して参りました。また、メタンの生成や酸化について調べるため、土壌や有機層の簡易的な培養実験を行った経験があります。

気体の安定同位体比について研究した経験を生かし、N₂Oトレーサー (15N14NO) を添加した土壌培養実験による、N₂O還元ポテンシャルの評価を担当致します。課題の研究の方向性を左右する部分かと思いますので、着実に進めたいと存じます。

これまでの研究では、森林におけるミミズの群集動態や、ミミズが土壌の団粒構造、窒素循環に及ぼす影響を明らかにする研究を行ってきました。

人工団粒の開発およびN₂O除去能の評価、さらにCT解析による土壌団粒構造の解明に取り組みます。これまでの研究では扱ったことのない技術や知識が多くあり勉強の毎日ですが、フィールドで培った忍耐力を活かして、トライアンドエラーで課題解決を目指します。

土の研究者。1981年富山県生まれ。京都大学農学研究科博士課程修了。博士（農学）。北極から熱帯雨林までスコップ片手に世界各地を飛び回っています。第１回日本生態学会奨励賞、第33回日本土壌肥料学会奨励賞、第15回日本農学進歩賞受賞。著書に『土 地球最後のナゾ』（光文社、第7回河合隼雄学芸賞受賞）『大地の五億年』（山と溪谷社）など。

温室効果ガス放出速度に対して土壌の特性が及ぼす影響を解明し、温室効果ガスの放出を抑制できる土壌のデザインを目指します。まだ見つかっていない土の能力を土に教わりたいと思います。

土壌微生物による地球冷却というアイデアにとても惹かれ、最終的には「ゼロ肥料」という野心的な目標に貢献したいと思っています。

土壌には数千〜数万の微生物が棲息しています。なぜ土壌でこのような莫大な多様性を支えることができるのか？という謎に興味を持っています。これまで土壌環境における物質循環、環境変動に対する土壌細菌叢の頑強性（レジリエンス）、土壌細菌叢の再構成、土壌環境における有用細菌の長期生残性のメカニズム、などを研究してきました。

「土壌」は人類最大のブラックボックスの1つだと考えています。温室効果ガスの低減という目標を達成するには、このブラックボックスに光を当てる必要があります。本プロジェクトでは土壌粒子、微生物、植物、大気、社会など様々な専門分野の方々とのコラボレーションを楽しみながら、課題解決に貢献したいと思います。

これまでは主に土壌中の金属元素動態に関する研究を進めてきましたが、窒素/炭素循環を主軸とする本プロジェクトに参加させていただくことになり、期せず大きな刺激を受けています。どうぞよろしくお願いします。

このプロジェクトでは、放射光源X線顕微鏡や微小電極などを使いながら土壌(団粒)の微視的な物理化学条件を直接観察する手法確立を目指します。これまで知られていない土壌中の微生物－元素－鉱物相互作用を解き明かし、そして本プロジェクトの目標達成にも資する成果を得たいと考えています。

【研究取組の紹介】 微生物培養技術や分子生態解析を駆使した、環境中の微生物の未知機能探索とその利用技術開発を専門とします。特に、将来のアグリバイオ産業の革新シーズの創出を目指して、「生物間相互作用を活用した植物生産の高度化」や「物質循環に寄与する微生物の実態解明」、「微生物遺伝子資源の探索」に取り組んでいます。

なぜ、土壌中では多様な微生物が菌数・活性を頑強に維持できるのか？ 土壌微細構造を模倣した微生物の住処を創成することで、複雑に変化する野外環境においても、微生物群集とその生態機能をマネジメントすることは可能となるのか？ 環境微生物学者の立場から、自然界の土壌の“妙”に真摯に向き合い、人類の土づくりを一歩前進させることに貢献できればと考えております。

地球環境中に膨大かつ多様に存在する未知微生物の発掘・培養化とその新たな生物機能の解明ならびに利活用に関する研究に取り組んでいます。
特に、「未知の微生物を”培養”して深遠な未知機能を探る」をライフワークとして、最近では、培養技術と環境ゲノム情報を駆使しながら主に植物共生微生物、腸内微生物、地下微生物を対象とした研究を進めています。

本ムーンショットプロジェクトを通じて農地における微生物の窒素循環を正確に明らかにし、そこに存在する利用価値の高い微生物を応用した新たな温室効果ガスN₂O削減技術の開発を目指したいと思います。

土壌微生物が関与する物質循環に注目し、微生物叢解析や培養実験を軸に研究を行ってきました。
近年は、バルク土壌や非宿主植物におけるダイズ根粒菌の生態に注目しています。

今までブラックボックスであった土壌微生物の生態解明に挑み、地球の未来に貢献する成果を目指します。

農研機構・農業環境変動研究センター 研究員。2017年3月北海道大学大学院農学院博士後期課程修了、博士（農学）取得。2017年4月から2020年10月まで3年半の間フランス・Gif-sur-YvetteのI2BC研究所でのJSPSポスドクを経て、2020年11月より現職。土壌微生物のバルク土壌・作物根圏・昆虫腸内への定着メカニズムや共生特異性について、遺伝子レベルでの解明を目指して研究を行っています。趣味：カヌー、ドライブ、お散歩。

3年半ぶりに日本で研究できることは嬉しく、さらに、様々な研究分野の方と一緒に研究できることは新たなインスピレーションが湧きそうでとても楽しみです。これまでの昆虫内部共生系の研究で培ってきたスキル・経験を活かして土壌微生物の新たな一面を解き明かし、農耕地土壌からのN₂O排出削減につながる技術開発に貢献できるように頑張ります！